6ピティナ新曲募集事業 関係者インタビュー

写真左より 川元啓司さん・芝田啓二さん・木村一貴さん
・ 芝田啓二さん(出版部 部長)
・ 川元啓司さん(出版部 編集企画課 課長)
・ 木村一貴さん(出版部 編集企画課)
カワイ出版では、ピティナ・ピアノコンペティションの課題曲にふさわしい作品を気鋭の作曲家に委嘱した「ピアノ・トゥデイ2003」以来、新曲課題曲や新曲募集事業の二次審査に残った佳作を、毎年、出版して下さっている。ピティナと関わりの深い3名にお話をうかがった。
(本文中、敬称略)
Q: 楽譜出版社として、これまでに数多くの日本人の作品を出版され、邦人作品を普及することへの強い信念を感じます。ピティナも当初は、邦人作品の研究・振興を目的として発足した団体でした。
- 芝田
- 30年ほど前、「こどものためのピアノ曲集」という委嘱作品シリーズを出した当時は、発表会の曲目が外国曲で占められていたことを覚えています。しばらく販売促進に苦労しましたが、日本人の作品を日本の子どもたちが豊かに表現することを願って、日本作曲家協議会の主催するコンサート「こどもたちへ」(邦人作曲家の書下し作品の自作自演)との連携をはじめ、邦人作品の出版を続けてきました。この10年くらいで関心が高まった感じで、ピティナとのタイアップで「ピアノ・トゥデイ」や新曲作品を出版したことは、自然な流れだったと思います。
- 川元
- カワイ出版では、ピアノ関係の楽譜のうち約8割が日本人の作品です。もともと合唱曲の出版で作曲家との交流が盛んだったので、ピアノ曲を書いていただいても面白いかも、と思った方にすぐ声を掛けることができたことも、カワイ出版ならではのスタンスだったと思います。また、オンデマンド出版や1曲単位でのダウンロードなど、出版形態が多様化し、作品の難易度に関わらず、需要と供給のバランスを図りながら提供できるようになったことも、柔軟かつスムーズに出版できる要因ですね。
Q: 毎年、新曲募集事業の二次審査(実音審査)をご見学いただいていますが、数々の新曲の初演に接して、どのような感想をお持ちでしょうか?
- 木村
- 新曲募集事業への応募曲には、作品として芸術的なものと、課題曲として優れているものと、それぞれの側面がありますね。採用された作品を見ると、作曲家として書かれている部分と課題曲のために作り込まれている部分と、さまざまな葛藤の中で良い作品に仕上がっていることがよくわかります。最近は、作曲家の傾向・特色がよく出てきて、連続して課題曲に採用されている方は、課題曲に適した書き方を心得ていますね。
- 川元
- 和風の旋律を使えばよいわけではないですが、「ドビュッシーもどき」とか「○○もどき」ではなく、日本人が現代の日本において何を書くべきか、しっかりしたアイデンティティのもとで作曲すれば、いずれは外国に向けても、日本の曲としてきちんと提示できますね。このことは、新曲二次審査の講評で、嵐野英彦委員長も、たびたび口にされています。外国に発信していく時代になった、という使命感をもって作られた曲が集まるようになると、さらに深みのある新曲募集事業になると思います。
Q: 今後はどのような展開を願っているでしょうか?
- 芝田
- 若手のピアニストに日本人の作品の楽譜を提供して、海外のコンサートでは少しずつ演奏されるようになってきましたが、国内ではなかなか演奏して下さる機会が得られていないのが現状です。ポピュラーな作品として定着させることが使命です。
- 川元
- ピアノのメソードは、バイエルなどドイツ系の教本に続いて、アメリカなど各国から日本に入ってきましたが、純粋な日本のメソードが少ないですよね。その意味でも、長い年月をかけて完成に至った「Miyoshiピアノ・メソード」は、長い年月をかけてでも普及させたいものです。また、ピティナのピアノ曲事典やYouTubeなど、うまく連携させることで、作品の紹介の機会を増やすことも大切だと考えています。
- 木村
- ピアノ学習者の皆さんには、先生から与えられる楽譜だけでなく、自分の弾きたい曲は何なのか、自分で考えられることが大切だと思います。ピアノ学習者に積極的に手に取っていただけるような楽譜を、作り続けたいものです。









