2016年度春期 コンペ筆記試験問題公開

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2016/06/24

試験問題
1
リスニング、指導問題1[10点]
  • 音源および楽譜・解答省略
1.〈A2級 バイエル:60番(原書番号)〉[4点]
音楽を聴き、この曲の形式に着目したとき、演奏の問題点と、それをどのように指導すべきか記述してください。
音源はこちら
解答例
左右ともに旋律で、掛け合いながら進む曲なので、左と右の音量をある程度対等に弾くように指導するとよいでしょう。この曲では、A-B-Aの三部形式から成り立っているため、AとBを対照的に演奏するとよい、などの指導ポイントもありますが、この演奏では、左手で演奏する旋律が、右手の旋律より圧倒的に弱かったため、左手を右手と同等の扱いで演奏した方がよい、という指導をまずは行うのが適切だと思います。
〈平均点〉3.23点
2.〈B級 渡部賢士:ピクニックへ行こう〉[6点]
次に流す音楽には、楽譜の表記と決定的に異なる点が3点あります。その点を踏まえ、自身ならどのように指摘し、レッスンを行うかを記述して下さい。
音源はこちら
解答例
楽譜の表記と明らかに異なる演奏をしているのは、下記の点です。
  • 10小節目の左手のリズムが違う
  • 12小節目の右手のB♭をCで弾いている
  • 18小節目3、4拍目の左手を1オクターブ下で弾いている
  • できるだけ、具体的に「どの箇所がどのようによくないので、どのようにしよう!」ということを指摘して下さい。レッスンで漠然とどのように弾いた方がよいと指摘するのは避けた方が良いと考えます。
〈平均点〉3.86点
2
C級 J.S.バッハ:インヴェンション第8番[32点]
  • 楽譜省略
<アナリーゼ> [2点×16問]
この曲は、まず1、2小節目の上声部にテーマが現れます。テーマの前半は8分音符、後半は16分音符主体の音型で成り立っています。2小節目からは下声部にテーマが現れます。2小節目から7小節目にかけての下声部は、上声部を完全に模倣して追いかける形になっているため、(①
  • a. カノン
  • b. フーガ
)
風であるといえます。
この形式ゆえ、8分音符の音型が上、下、上、下の順に交互に現れて、8分音符と16分音符の声部が1小節おきに入れ替わるという特徴があります。これを演奏する際には、(②
  • a. 上下声部で各音価のタッチや音量などを対等に扱う
  • b. 常に上声部をよく響かせる
)
とよいでしょう。4小節目までが主題の提示的な部分であり、5,6小節目が(③
  • a. 順次
  • b. 反復
)
進行主体の動きとなっています。7小節目から11小節目までは比較的展開風の動きが続き、11小節目から12小節目の1拍目にかけて終止があります。そのため、4小節目までは(④
  • a. 歯切れのよい音色で必要以上に変化をつけすぎず
  • b. 柔らかい音色で多彩な変化をつけて
)
演奏するとよいでしょう。5小節目と6小節目は一生懸命に弾きすぎず、7小節目から12小節1拍目にかけては(
  • ⑤a. 終止に向けて、だんだんと音量とテンポを落としながら演奏する
  • b. クライマックスに向かうようにして、12小節目の1拍めでしっかり閉じる
)
と効果的です。
12小節目からは第2部です。冒頭に準じた形でテーマが現れますが、冒頭とは異なり、下声から先にテーマが登場します。また、冒頭の調の(⑥
  • a. 属
  • b. 下属
)
調である( ⑦ )調に転調しているため、(⑧
  • a. より生き生きと演奏する
  • b. より優しい音色で演奏する
)
のも一案です。12~14小節目は冒頭と類似した動きですが、15小節および19~25小節目にかけては新しい動きがみられます。特に21~25小節目にかけては(⑨
  • a. 順次
  • b. 反復
)
進行主体の動きがみらえます。そのため、12~14小節目、および16~18小節目は(⑩
  • a. しっかり弾いて、曲調を必要以上に動かさず
  • b.小節ごとに変化をつけて全体としては経過的に演奏し
)
、15小節目、および19~25小節目は(⑪
  • a. しっかり弾いて、曲調を必要以上に動かさない
  • b. 小節ごとに変化をつけて全体としては経過的に演奏する
)
とよいでしょう。15小節目から18小節目は( ⑫ )調であるため、冒頭との音色の違いをつけるために(⑬
  • a. 陰のある演奏をする
  • b. 軽快に演奏する
)
と効果的です。さらに19,20小節目の下声部と24,25小節目の下声部、及び21~23小節目の上声では前後で変化する音を表に出して、反対側の声部の8分音符に絡め演奏するとよいでしょう。26小節目からは第1部の4小節目以降に類似した形であるため、第1部の演奏に準じてかまいません。その際、26、27小節目が(⑭
  • a. 属
  • b. 下属
)
調である( ⑮ )調になっているので、(
  • ⑯a. 激情的
  • b. 回想風
)
に表現するのも一案です。

①~⑯にあてはまる言葉を選択し、記号で答えなさい。なお、⑦、⑫、⑮に入る言葉は、下の【記号群】より選択してください。(同じ記号を何度使っても構いません)
記号群
  1. ハ長
  2. ト長
  3. イ短
  4. ヘ短
  5. ト短
  6. ハ短
  7. ニ短
  8. 変ロ長
  9. 変ホ長
  10. ロ長
  11. ホ長
  12. イ長
  13. 変ニ長
  14. へ長
解答
  解答 正答率
a. カノン 90.0%
a.上下声部で各音価のタッチや音量などを対等に扱う 95.4%
b. 反復 82.3%
a. 歯切れのよい音色で必要以上に変化をつけすぎず 97.7%
b. クライマックスに向かうようにして、12小節目の1拍めでしっかり閉じる 84.6%
a. 属 97.7%
a.ハ長(調) 98.5%
a. より生き生きと演奏する 76.1%
b. 反復 57.7%
a. しっかり弾いて、曲調を必要以上に動かさず 73.1%
b. 小節ごとに変化をつけて全体としては経過的に演奏する 85.4%
e. ト短(調) 92.3%
a. 陰のある演奏をする 97.7%
b. 下属 97.7%
h. 変ロ長 94.6%
h. 変ロ長 88.5%
3
C級 ハイドン/ソナタ Hob.XVI/27 第1楽章[25点]
  • 楽譜省略
[A] <アナリーゼ>①~⑭に当てはまる言葉を記入しなさい。なお、赤字部分には数字、青字部分には調名が入ります。[1点×14問]
この曲は、( ① )部分からなるソナタ形式の曲です。第1主題はト長調で、( ② )小節目から始まる第2主題はニ長調です。これら2つの主題は、対照的に演奏するとよいでしょう。第1主題は( ③ )小節から主題を繰り返すような形で再度提示され、ここから第2主題に入るまでは確保と推移といわれる部分です。 第2主題は( ② )小節目の主題を中心に( ④ )小節目からの第2主題Bともいえる新たな動きや、( ⑤ )小節目からの新たな動きも有しています。55小節からの3小節はコデッタと呼ばれます。第1主題は左手の音域が比較的音域が高く、右手に動きが多いのに対し、第2主題は支持的な左手の細かい動きが主体なのが特徴です。また、第2主題は第1主題の属調であるため、第1主題よりも、第2主題のほうが軽快に、のびやかに弾くなどの工夫があるとよいでしょう。
( ⑥ )
小節目からは展開部に入ります。展開部は、主に第( ⑦ )主題の音型を用いた展開ともいえますが、8分音符の音型が新たな形となって登場していることがわかります。
<C>イ短調で始まった展開部は63小節目付近でホ短調に転調し、続く64小節目で8分音符音形が転回するなど、多彩に変化します。72小節目からは8分音符の動きが連続しており、動きがかわります。さらに、74、75、76小節目はそれぞれ( ⑧ )調のV度、( ⑨ )調のV度、( ⑩ )調のV度と転調し、76~77小節目は( ⑩ )調、78~79小節目は( ⑪ )調に転調します。80小節目からはそれまでの1小節単位の和音の変化から1拍単位の和音の変化に縮節し、動きがさらに激しくなります。80小節目の2拍目から81小節目の1拍目にかけて瞬間的に( ⑫ )調が現れますがすぐに( ⑪ )調に戻り、85小節目でクライマックスを迎え、86小節目で半終止して展開部を終えます。
87小節目からは再現部となります。再現部冒頭は提示部に準じた動きですが、97小節目からの3連符の動きが少し変化しています。また( ⑬ )小節目からは第1部とは異なる展開部風の動きをしています。したがって再現部は提示部に準拠して演奏しつつも、97小節目からの3連符の連用や、( ⑬ )小節目からの展開部風の動きは、曲頭と異なるように変化をつけて弾いた方が効果的です。一方、( ⑭ )小節から始まる再現部の第2主題はト長調に回帰しているため、曲頭の第1主題の雰囲気に近づけて、曲頭ほど2つの主題を対照的に弾きすぎない方がいいでしょう。
解答
  解答 正答率
3 92.3%
25 93.1%
13 87.7%
36 53.1%
43 59.2%
58 98.5%
2 71.5%
イ短 74.6%
二短 73.8%
ト長 78.5%
ト短 79.2%
変ロ長 55.4%
98 82.3%
107 83.8%
[B] 86~87小節の右手の指使いについて、不適切なものをア~ウより選び、記号で答えてください。[1点×14問]
ア
イ
ウ
解答
(正答率:89.2%)
[C] 下線部<C>の文章に基づき、展開部をより表情豊かに、幅広く表現させるための指導法を、できるだけ具体的に述べてください。[4点]
解答のポイント
どのように具体的に変化させるかを記述してください。
イ短調からV度調のホ短調に転調したことにより、高揚感などを表現します。8分音符音型が転回することによって、旋律の方向性を変えます。
72小節目からは8分音符の動きが少しずつ切迫していく感じを出すのがよいでしょう。
74小節目から77小節目に関してはV度とI度の動きを、ト長調とト短調で表現しているので、両者とも緊張→弛緩のフレーズ感を作りつつ、ト長調では少し明るさを残し、ト短調では不安な表現などをするとよいです。
80小節からは縮節しているため、クライマックス感が大きくなります。80小節目の2拍目から81小節目の1拍目は変ロ長調なので、すこしだけ明るさを表してもよいでしょう。 最後は85小節目のV度をクライマックスにして、しっかり閉じます。
4
B級 チャイコフスキー:朝の祈り Op.39-1[32点]
  • 楽譜省略
この曲はト長調です。4小節目で(e: ① )に半終止します。5小節目の1拍目と2拍目がそれぞれ(A: ② )(A: ③ )で、6小節目の1拍目と2拍目はそれぞれ(G: ② )(G: ③)です。7小節目の3拍目は<a>(G: ④ )。8小節目が(G: ①)で半終止。10小節目の3拍目が<b>(C: ⑤ )。12小節目全体では(h: ⑥ )、13小節目の1拍目が(E: ⑦ )、13小節目の2拍目が(A: ⑧ )、13小節目の3拍目が(D: ⑨ )、14小節目でト長調に戻ります。15小節目3拍目から16節目にかけてト長調の全終止。17小節目は主音のト音上に短調のV度の和音が載った状態です。16小節目から21小節目のト音の8分音符の連打は保続音と呼ばれます。保続音上に様々な和音が動いていますが、全体的にはト長調に終始する雰囲気を与えます。

[A] 上記文章について、①~⑨に当てはまる和音記号として適切なものを下記の選択肢より選び、記号を解答欄に記入してください。ただし、何度同じ記号を使っても構いません。[1点×9問]
解答
  解答 正答率
カ(e:) 86.9%
キ(A: 66.2%
ア(A: 77.7%
ク(G: 54.6%
ケ(C: 63.8%
キ(h: 42.3%
ケ(E: 72.3%
コ(A: 45.4%
ケ(D: 66.9%
[B] 下線部a、bの和音がもたらす曲調の変化として最も適切なものを、下記選択肢のア~ウより選び、記号を解答欄に記入してください。[2点×2問]
ア.広がり・開放感
イ.緊張感・高揚感
ウ.安定感・終止感
解答例
  解答 正答率
a 27.7%
b 29.2%
5
D級 シャブリエ:音楽帳の一頁[19点]
  • 都合により問題・解答省略
シャブリエが生きた19世紀の、国民音楽協会を中心としたフランス史・フランス音楽に関する問題[2点×8]
および27小節~30小節のペダル記号として最も適切なものを3つの選択肢から選ぶ問題[3点]
※解答省略
6
B級 渡部賢士:ピクニックへ行こう[5点]
  • 楽譜省略
いろいろな指導法があるとは思いますが、この曲が大きく見るとABAの構成となっていること、全体的にはシャープの記載が多い中で、Bの最初の部分(9小節目~)にフラットが目立つことに特に注目した場合、どういう指導法が考えられるか、説明してください。
解答のポイント
Bの最初の部分はフラットが多く、変イ長調、さらにはヘ短調に転調している部分です。フラットの多い調は管楽器のイメージを持った、丸く柔らかい表現になることが多いので、B部分はやわらかく、落ち着いた音楽に表現させることなどが考えられます。
〈平均点〉3.69点

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