指導者の祭典~指導法の新たな学びのかたち

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2015/05/08
指導者の祭典 ~指導法の新たな学びのかたち

 4月26日(日)、浜離宮朝日ホール小ホールにて、第48回指導セミナーが行われ、全国から約260名のピアノ指導者が参加されました。
 第1講座は、3年目となる7名の講師にプレゼンテーションとポスターセッション。12分間のプレゼンテーションでは、各講師の指導法エッセンスをご紹介いただき、続くポスターセッションでの実例、実演、グッズ紹介等を織り込みながらのお話に、来場者からは「大変刺激を受けた」「今後に活用できそう」と満足度の高い声が寄せられ、会場は熱気に包まれました。
 第2講座、第3講座では、「ブルクミュラー」をテーマとして、音楽ライターの飯田有抄氏からはブルクミュラーに深く迫る講座を、ピアニストの小原孝先生からは、素晴らしいアレンジを盛り込んだ演奏を通して、ブルクミュラーの魅力をご披露いただきました。

 前日の4月25日(土)には、文化シヤッターBXホールにて、関本昌平先生によるショパン公開レッスン&レクチャーコンサートを開催。関本先生の的確な指導で、2名のレッスン受講生の演奏はますます魅力的に変化し、またレクチャーコンサートでは素晴らしいプレリュードを聴かせていただき、レッスンとコンサートの余韻は、アフターパーティーでの交流にまで続きました。

 2日間の模様を、ピアノ指導者の目線から坂かず先生(ピティナ正会員)にレポートしていただきました。指導セミナーは、eラーニングで聴講可能ですので、興味のあるものを選んで、これから聴講されてみてはいかがでしょうか。

4/26 指導セミナー
レポート:坂かず先生
第1講座
渡部由記子先生(指導者育成委員、日比谷ゆめステーション代表)
魔法のレッスン~ほめたらできる!子どもの可能性は無限大~

渡部先生ご自身、学生時代に「ほめてくれる先生」との出会いがあったからこそ今の人生があるというご経験から、生徒さんのやる気を引き出す鉄則は「ほめること」と実感していらっしゃいます。人はほめられ期待されることで伸び、先生のアドバイスに耳を傾けるようになる。心の扉を開ける鍵「ほめる」ことは時に指導者にとって難しいこともあるが、少しでも「できた」ことに目を向け、それを表現する言葉の引き出しを持つことが大切だと仰っていました。渡部先生のブースには自宅での具体的な練習指示をするための、お母様が作っているノート、レッスンで使う道具、できた時のごほうびグッズなどが並び、先生方は熱心に質問されていました。

深谷直仁先生(安城あさひステーション代表)
良い練習、悪い練習

「なぜ練習が必要なのか?」との問いかけで深谷先生のレクチャーは始まりました。答えは「人は忘れる生き物だから」。人間の記憶は時間経過とともに薄れたり消えたりします。うまく演奏技術を記憶定着させるための教材の与え方や適量、レベルの工夫、要素練習の指示方法、さらにレッスンではすぐに丸をあげず記憶定着と共にレパートリ拡大を狙うなど深谷先生の具体的なレッスン方法が紹介されました。少しでも先に進みたいと願う親とのコミュニケーションをうまくとって指導方針を理解してもらうことも大切だそうです。レクチャーの中で「コンペで一等を取りたければ、練習も一等賞に。大切なのは今の自分に勝つこと。」という深谷先生からのお言葉がとても印象的でした。

谷口賢記先生(ジャスミンINAGIステーション代表)
室内楽を通したピアノ演奏力アップ

チェリストの谷口先生のプレゼンテーションでは、室内楽を学び知ることによってピアノレッスンにどのような効果があるのかをお話されました。弦楽器とピアノという楽器の持つそれぞれの特徴、そして良い伴奏者とはソリストに付いてくるのではなく、音楽を積極的に一緒に作ってくれるピアニストだということなど、チェリストの目線からのお話はとても興味深く、「ステージでの演奏とはその場で作る即興性があり、空中で会話するようなその場にしか存在しない音楽」という谷口先生との言葉はその後の実際の多喜先生との演奏と共に心に残りました。ブースではブルグミュラーの「無邪気」をお二人で演奏してくださいました。チェロが加わることにより、横の流れがより意識され大きなフレーズを自然に感じることができました。

添田みつえ先生(経堂メロディステーション代表)
全調があっという間に弾けるピアノ指導法~『雪だるま』が主人公の指導法テキストで読譜を身につける~

添田先生ご自身がピアノを習っていた子供の頃、黒鍵恐怖症だったご経験から、生徒さんには「調の色が見えると言われている導入期に全調の主和音&調号を理解し反射的に言えるように」と願い、そこから生まれた先生の指導法の紹介がされました。3段重ねの雪だるまを和音に見立てて、白い雪だるま(白鍵のみ)やお腹が黒い雪だるま(第3音が黒鍵)などを鍵盤でドンドン弾いていく生徒さんのVTRが紹介されました。決して簡単ではない課題を幼い生徒さんが楽しそうにスイスイ演奏している様子に会場からはどよめきが聞こえてきました。

西尾 洋先生(作曲家)
楽譜の向こう側 ~楽譜を読むために必要な和声の知識~

セミナー当日が38歳のお誕生日の西尾先生。作曲家の先生ということから難しそうなお話かと思うと、意外にも「和声は決して難しくありません、後からついてくるものです」という言葉でプレゼンが始まりました。和声というのは歴代の作曲家の経験則であり、私達が音楽の中で素敵だと思い感動する気持ちが生まれた時に理由を考える手助けとなるもの。私達は常に直感のアンテナを磨き音楽に向き合うことが大切だとお話されました。西尾先生のおっしゃる「私達はピアノに触れているのではない、ピアノを通じて音楽に触れているのです」という言葉がとても印象に残りました。

黒河好子先生(ピアノ指導者)
さぷりキッズ ~ピアノを弾くからだづくり~

黒河先生の教室では1歳半のお子様からレッスンを始めるそうです。そしてなんと驚くことに4歳では全員がオクターブに指が届くということです。導入期にいずれ必要となる筋力や関節や眼の動きを正しくトレーニングし、大人の表現が必要となった時に備える。そのための特に手のひらの筋力作り、粘土を使った3-4指の分離のトレーニング方法をご紹介くださいました。休憩後の黒河先生のブースは大盛況で100名近くの先生が輪を作り、熱心にお子様を使ってのデモンストレーションの様子をビデオや写真を撮りながら聞いていらっしゃいました。

デュエットゥ(木内佳苗先生&大嶋有加里先生)(コンペ課題曲選定委員)
輝け!連弾パワー!! ~連弾をとりいれて音楽も人も育てよう~

デュエットゥのお二人からは若さあふれる語り口で連弾の持つ魅力を伝えてくださいました。レッスンに連弾を取り入れることで、アンサンブル力が付くことはもちろん、耳を育て、ソロが上達する近道となる。そして何より人と人が音楽を一緒に奏でることで人間力が育ってくることなどをご自分たちの経験をもとにお話されました。ブースではセミナーで演奏したクルタークの楽譜が紹介され、たった7音でできている曲に1年程かけてご自分たちのものにしたことなどをお聞きし、2人でひとつの音楽を作っていくことの奥深さを再認識しました。


第2講座<第1部>
飯田有抄氏(音楽ライター/翻訳)
もっと接近!ブルクミュラー~「25の練習曲」が生まれたヒミツ~

誰でも一度は耳にしたことのある「アラベスク」。これほどブルグミュラーに親しんだ私達なのに、意外にも彼のことを何も知りません。飯田先生からは当時の時代や文化に注目し25の練習曲の魅力をお聞きしました。1806年ドイツで生まれたブルグミュラーは26歳で渡仏。その頃のパリではサロン文化が花開きリストやショパンが活躍。産業革命でピアノという楽器が完成し、ブルジョア中産階級に一気にピアノ文化が入ってきた時代です。彼はそんな時代、生徒達が易しく弾ける作品を作曲し指導に使っていた、いわば時代のニーズにマッチした「時の指導者」として巷の人気者だったそうです。一方彼の作品が日本に入って来た最初の記録は明治22年。初版からこれまで音楽的に様々な解釈の楽譜が出版されており、タイトルも元のフランス語からの訳は多種多様。飯田先生は「ひとつに決めてしまわず、むしろその多様性を選択肢が多いと捉えること」が現代において最大の面白さだと仰っていました。


第2講座<第2部>
小原孝先生(ピアニスト/ピアノ指導者)
もっと自由に!ブルクミュラー~ピアノよ歌え!演奏法のヒミツ~

セミナーは小原先生の「ピアノよ歌え第1集」の中の「川の流れのように」の演奏から始まりました。美空ひばりさんの歌を挟むようにブルグミュラーの「清い流れ」が挿入されています。今から20年前にリリースされたこのアレンジにブルグミュラーを使ったのは、小原先生の一般の人にもブルグミュラーの魅力を伝えたいという思いからです。戦後、ブルグミュラーの解説本はいくつも出版されており、同じ曲でも解釈や指示の違いがあります。自分が素敵だと感じる演奏を見つける上での演奏・指導ポイントをピアニストの立場から教えて下さいました。続いてのアラベスク、牧歌、バラード、アベ・マリアなどを演奏しながらレクチャーでは「コンクールで弾くときは真似しないでくださいね」と仰っていましたが、小原先生の演奏されたブルミュラーは練習曲とは思えない魅力がたくさん詰まっていてとても素敵でした。


指導セミナー参加者の声
  • 短時間に多数の先生方の興味深いお話をうかがうことが出来て嬉しかったです。来れて良かったなと思いました。自分一人では、ついマンネリ化したり、よい解決策やアイデアが思いつかなくなったりする中、先生方のレッスンに対するご経験と工夫をたくさん教えていただけとても勉強になりました。不破由美子先生(愛知県・指導会員)
  • 一日で、指導の参考になる素敵なアイディアがぎゅっと詰まってました。教室を開いて半年、日々模索で指導の悩みが多いですが、1つずつ解決できそうなエッセンスをたくさん学ばせてもらいました。どの先生もそれぞれの良さがあり、すごく刺激になりました。同じくピアノ指導者の母と指導について語り合いながら参加させていただいた一日、あっという間で楽しかったです。桃原聡子先生(埼玉県・指導会員)
今年も好評!第1講座のレジュメ冊子&スタンプラリー

12分間という短いプレゼンテーション時間では伝えきれない指導法の要点を50ページものレジュメに凝縮しました。ポスターセッションでは、昨年好評だった講師の似顔絵イラスト入りスタンプラリーを実施。講師の先生方をより身近に感じることができるツールとなりました。

ピティナVOICE

 今回初めて、「ピティナVOICE」と称して、当協会専務理事の福田成康が、会場内にて会員の皆様のお声をお伺いする企画を行いました。日頃のレッスンやピティナへのご意見等、皆様の貴重なお声を頂戴できる機会となりました。今後のピティナ・イベント会場でも、是非お気軽にお声かけください。

自宅で聴講! eラーニング

指導セミナーVol.48をパソコンやタブレット、スマートフォンで聴講することが出来ます(有料)。是非、ご自宅での学びにお役立てください。※5月12日現在、第1講座・第2講座<第1部>のみ発売開始。第2講座<第2部>は近日中に発売開始の予定です。(視聴は購入後30日間可能)

4/25 関本昌平×ショパン
  公開レッスン&レクチャーコンサート
レポート:坂かず先生
公開レッスン
受講生:米倉令真さん
レッスン曲:ショパン◎ポロネーズ 第6番 変イ長調「英雄」 Op.53

レッスンは「音楽の流れが美しく行進曲的になりがちなこの曲をよく歌ってきれいに演奏していましたね」との関本先生の第一声で始まりました。ポロネーズのリズム感、和音の響き、休符の感じ方、構成、テクニックなどレッスンが進むにつれ米倉さんの音色の変化は会場にも伝わり、聴講していた先生方もレッスンに引き込まれホールは熱い雰囲気に。終了後に米倉くん自身「レッスンの中で僕の和音の響きが変化してきたことを自分でも感じ、どんどん楽しくなりました。」と語ってくださいました。

受講生:下岡萌々子さん
レッスン曲:ショパン◎バラード 第1番 ト短調 Op.23

下岡さんのレッスンはバラード1番。内容は細部に渡ります。冒頭の音のないところ(休符)に生まれる緊張感、メロディーの7度9度の跳躍は時間をかけ、待たせる意味を持つための音色の工夫。身体の弱かったショパンにとってのpiu forteはどういう意味なのか、非和声音がもつ性格など、ピアニストとしての関本先生のアイデアの詰まったとても濃いレッスンでした。将来ピアニストになりたいという下岡さんは「自分とは違う関本先生からの意見がとても参考になりました」と目を輝かせてお話くださいました。


関本昌平レクチャーコンサート
プログラム:24のプレリュード(前奏曲集) Op.28

ショパンのプレリュードは各曲が違った性格を持ち、音楽的な材料がたっぷり詰まっていること、それゆえピアニストにとっては気持ちの切り替えが非常に難しいことなど全体通しての説明後、各曲の合間にもコメントを入れながら演奏してくださいました。バッハの平均律ハ長調プレリュードの優美なアルペジオを思わせる1番から始まり、次々と現れるロマンティックな曲、重厚な響きの曲から軽やかな羽のような曲、メロディックな曲、情熱的な曲など、24曲それぞれの魅力たっぷりな演奏に観客はうっとりと聴き入っていました。

コンサート終了後、ロビーにてアフターパーティーが行われました。2名の公開レッスン生をはじめ、来場された方々が関本昌平先生を囲んで交流し、レッスンやコンサートの余韻を楽しむ時間となりました。


楽譜バザー

指導セミナー会場ロビーでは、第3回楽譜バザーが開催されました。個人2名、出版社4社から出品された楽譜の売上の一部(797冊、131,846円)は、CrossGiving登録団体に寄付されます。

⇒寄付額報告についてはこちら

個人出品 ヤマハ 学研 ドレミ 東音 合計
売上金額 29,330円 94,070円 29,800円 19,610円 366,100円 539,510円
売上冊数 53冊 77冊 25冊 35冊 607冊 797冊
CrossGivingへの寄付額 29,330円 18,814円 5,960円 3,922円 73,220円 131,846円
指導者賞受賞者

毎年、夏と春に優れた指導者に贈られるピティナ指導者賞。この春は新たに、既定のポイント数170ポイントを満たした63名の方が受賞され、指導セミナー会場にて、表彰式が行われました。

⇒2014年度指導者賞受賞者一覧はこちら

表彰式に出席された受賞者の声

受賞
小林美恵子先生

この度は、初めて指導者賞をいただきまして、ありがとうございました。ステップやコンペティションに向けて頑張る生徒達が私をここまで連れてきてくれました。彼らの頑張りに応えていけるよう、今後も精進したいと思います

コンペ・ステップ活用術!
「ピアノを楽しく演奏できる子を育てる」「実力が上がるからこそ楽しい」を合言葉に、ステップやコンペをお勧めしています。コンペは、参加することで成長することを一番の喜びにしたいと願っています。また、ステップは、3歳の幼児も、練習が苦手な小学生も、多忙な中高生や私達指導者も共に参加を楽しんでいます。継続表彰が生徒たちの大きな励みになっています。
6
受賞
坂入由美子先生

表彰式にて皆様にお祝いを戴き、嬉しさと共に、もっと謙虚に自分の指導力を見つめ直し学んでいきたいと改めて思いました。今後とも、諸先生方のピアノ指導のみならず人間力に触れさせて戴き、成長していきたいです。

コンペ・ステップ活用術!
どちらも、沢山の先生よりアドバイスが戴けること、学校宛に継続表彰の依頼ができること等、生徒保護者に伝え参加を薦めています。コンペには演奏検定が付加されているのも魅力です。努力を認め、励ますこともでき、アドバイスを日頃のレッスンで活かし、生徒と共に成長していけるステージはピティナならでは!と思います。
7
受賞
堀 佐知子先生

今年も指導者賞を受賞できましたこと、本当に感謝いたします。私がこのような喜びを得ることがでできるのも、ピティナ本部の皆様方、また多くの指導者の方々、そしていつもあたたかく見守ってくださいます保護者の方々のおかげです。今後も日々努力し、多くの方々に実りあるピアノライフの実現につながりますよう、精進してまいりたいと思います。

コンペ・ステップ活用術!
目標を前にたて、そこに向かって走っていくことは、必ず成長につながります。そういう意味でもステップは、とても、良い経験となっています。そしてさらにコンペティションにおいては、より高い目標への「挑戦」、そして何より1曲を多方面から学習し深く掘り下げることにより、コンペティション参加後の子供たちの、曲への「取組み」が大きく変わることです。どんなことにも必ず意味があることを、ステップやコンペを通して、学習してほしいと思っています。

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